ありでいず 高齢者のインフルエンザ
こんにちは、ありでいず管理者です。今日は「高齢者のインフルエンザ」についてです。
毎年多くの感染者を出すインフルエンザですが、特に高齢者は感染すると重症化しやすく特に注意が必要といわれています。今回は、高齢者にとってのインフルエンザのリスクや予防接種の重要性、また感染してしまった際に気を付けたいことなどについて、詳しく説明します。
インフルエンザ死者の9割は65歳以上
インフルエンザは、高熱や頭痛、関節・筋肉痛などの症状だけでなく、合併症を起こし重症化する恐れのある病気です。若くて健康な人が重症化するケースはごくまれですが、高齢者は、場合によっては死に至ることも珍しくはありません。欧州では、「インフルエンザによる死亡者数の約9割は高齢者」という報告まで発表されているそうです。
そのように考えられる理由には、そもそも高齢者は、呼吸器や腎臓などに持病を抱える人が珍しくなく、たとえ持病がなくても免疫力が弱いので、肺炎や気管支炎をはじめとした合併症を併発する可能性が高いと考えられることがあります。特に肺炎は、高齢者がインフルエンザの合併症として併発する率が高く、命に関わるほど重症化することも少なくありません。また、たとえ重症化までは至らなくても、激しい全身症状による食欲低下により、栄養状態が悪くなったり、寝たきりのきっかけになったりすることもあるので注意が必要です。
高齢者のインフルエンザ予防について
インフルエンザから身を守るために、多くの人が受けるのが「予防接種」です。インフルエンザのワクチンは、接種すれば必ず感染を防げるというものではありません。しかし、万が一感染してしまっても、発熱などの症状を抑えたり、重症化を予防したりといった効果が期待できます。特に高齢者は、ワクチンを接種すると、接種しなかった場合に比べて、死亡の危険はに、入院の危険は約1/3~1/2にまで減少させられることが期待され、予防接種の意義が特に大きいとされています。ここでは、予防接種についての基礎知識を紹介します。
予防接種は、インフルエンザが流行する前に受けましょう。というのも、ワクチンを接種してから免疫ができるまでに、少なくとも2~3週間程度はかかるためです。ただ、予防接種の効果は、3~5カ月ほどで薄れてしまうことが分かっています。そのため「早すぎず、遅すぎない」時期を見極めて接種に臨むことが大切です。インフルエンザのシーズンは、例年12月~4月頃で、流行のピークは1月末~3月上旬となることが多いことを考えると、11月中には接種を終えておくのがよいでしょう。接種回数は、医学的な理由によって医師から2回接種と判断されない限りは、13歳以上であれば原則1回とされています。13歳未満の子どもや、基礎疾患などにより著しく抵抗力が落ちている人は、2回接種となるケースがあります。
なおインフルエンザは、流行するウイルスの型がシーズンごとに変異するので、ワクチンも年ごとに流行する型を予測したうえで製造されています。そのため、予防接種も毎年受けることが勧められています。
定期接種の対象者と自治体からの補助金について
通常インフルエンザの予防接種は任意接種とされ、健康保険の適用外で接種費用も自己負担となりますが、定期の予防接種の対象者は、によってインフルエンザ予防接種の費用が一部公費負担になります。高齢者はインフルエンザにかかると重症化しやすく、接種の意義が特に大きいことから、以下に該当する場合は、予防接種法に基づき定期接種の対象者となります。
【定期予防接種の対象者】
・65歳以上
・60~64歳で、心臓や腎臓、呼吸器の機能に障害があり身の回りの生活を極度に制限される人
・60~64歳で、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害があり日常生活がほとんど不可能な人
なお、自治体により、費用や期間は異なるので、詳細はお住まいの市区町村に確認しておきましょう。
予防接種が受けられない人について
インフルエンザの予防接種は、希望しても受けられない場合があります。以下に該当する人は、予防接種が受けられないか、もしくは、医師と相談した上で、ワクチンを接種するかどうか検討する必要があります。
①当日、37.5℃以上の熱がある
②当日、何らかの急性の病気にかかっていることが明らかな場合や、その病気の治療のために投薬が必要な場合
③インフルエンザの予防接種によって、アナフィキラシーショックを起こしたことがある
④インフルエンザの定期接種で接種後2日以内に発熱がみられた、もしくは全身性発疹などのアレルギーを疑う症状を起こしたことがある
⑤心臓病、腎臓病、血液の疾患、肝臓病、発達障害などの基礎疾患がある
⑥過去にけいれんを起こしたことがある
⑦卵や鶏肉など、接種液の成分に対してアレルギー反応を起こす恐れがある
⑧免疫不全と診断されたことがある、あるいは近親者に免疫不全の疾患がある人がいる
⑨その他、当日の医師の判断で予防接種を受けることが不適切と見なされた場合
高齢者にインフルエンザの症状がある時の注意点
万が一、高齢者がインフルエンザにかかってしまったら、どんなことに注意すればいいのでしょうか?ここでは、インフルエンザの際に市販薬を使うことの危険性や、周囲へ感染を広げないためのポイントを紹介します。
①自己判断で市販薬を服用しない
発熱やせきなど、インフルエンザは風邪と似ている症状が多くみられることから「とりあえず熱を下げたいから、家にある解熱剤を飲んでおこう」と、手持ちの市販薬を使いたくなるかもしれません。しかし、市販の風邪薬では、インフルエンザに対する効果は期待できないと考えられています。それどころか、市販の解熱剤や風邪薬のなかには、インフルエンザの際に服用すると、合併症を引き起こす原因となり得たり、インフルエンザ脳炎・脳症のリスクを高めたりするものがあることも分かっています。こうした理由から、自己判断での市販薬の服用は避け、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
②他の高齢者に移さないように気をつける
インフルエンザにかかってしまったら、自分の体のケアだけでなく、周囲に感染を広げないように注意することも重要です。介護施設や、デイサービスなど多数の高齢者が集まる場所への訪問は控えて、なるべく他の高齢者に接触しないようにしましょう。
なお、インフルエンザは主に、せきやくしゃみの際に発生する鼻水や唾液などの飛沫によって感染します。感染者はもちろん、感染者の家族も、家の中でもマスクを着用して、インフルエンザをうつしたり、うつされたりしないように気を付けましょう。
また机や椅子、手すりなど、日常生活の中で触れる機会の多い家具や建具にもウイルスが付着している可能性があります。そういった場所に触れることによって、感染を引き起こす恐れもあるため、消毒用エタノールを含ませたペーパータオルで拭いて、こまめに消毒を行ってください。
高齢者にとってインフルエンザは、命に関わることもある怖い病気です。高齢者本人も、周りの人たちも、正しい知識を持って、インフルエンザからしっかりと身を守るための対策を心がけましょう。
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